
ファクタリングの仕訳と勘定科目|2社間・3社間の会計処理と手数料の処理を仕訳例で解説
公開 2026-10-26ファクット編集部
ファクタリングの仕訳を、2社間・3社間の流れごとに仕訳例の表で解説します。手数料の勘定科目(売上債権売却損・支払手数料)、消費税区分、償還請求権ありの場合の会計処理、個人事業主の仕訳、よくある間違いまで整理しました。
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ファクタリングを使ったあと、経理で迷いやすいのが仕訳です。売掛金を「売った」のか「借りた」のか、手数料はどの勘定科目か、2社間で売掛先から入ってきたお金はどう処理するか。この記事では、法人・個人事業主に共通するファクタリングの会計処理を、仕訳例の表でひとつずつ整理します。
この記事の要点(先に結論)
- ファクタリングは一般的に 売掛金の売却 として会計処理します。売掛金を減らし、受取額を預金、差額を手数料として費用にします。
- 手数料の勘定科目は 売上債権売却損 を使うことが多く、会計ソフトにない場合は支払手数料などで処理する実務もあります。
- 2社間では、売掛先から回収したお金を 預り金 などで受け入れ、ファクタリング会社へ送金したときに取り崩します。
- 手数料部分は、金銭債権の譲渡として 消費税の非課税取引 として扱われます。
- 償還請求権あり の契約は、実態によって処理が変わるため税理士への確認が必要です。
この記事の仕訳例の金額は、すべて説明用の仮の数字です。実際の処理は契約内容によって変わるため、最終的な判断は顧問税理士に確認してください。
ファクタリングの仕訳の基本|使う勘定科目と考え方
最初に、ファクタリングの仕訳の考え方を押さえておくと、2社間・3社間どちらでも迷わなくなります。
ファクタリングは「売掛金の売却」として会計処理する
事業者向けのファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に売る取引です。お金を借りる取引ではないため、一般的には借入金を使わず、売掛金を帳簿から消す(減らす) 処理をします。
企業会計基準委員会の「金融商品に関する会計基準」では、金融資産(売掛金もこれにあたります)は、契約上の権利に対する支配が他に移転したときなどに消滅を認識するとされています。そして消滅を認識した場合は、帳簿価額と受け取った対価との差額を当期の損益として処理するとしています。ファクタリングでいえば、売掛金の額と受取額の差(手数料)が損失になる、という考え方です。
仕組みそのものをおさらいしたい場合は、ファクタリングの仕組みと2社間・3社間の違いで詳しく解説しています。
ファクタリングの仕訳で使う主な勘定科目
ファクタリングの仕訳でよく使う勘定科目は次のとおりです。科目名は会社や会計ソフトによって異なることがあります。
| 勘定科目 | 使う場面 |
|---|---|
| 売掛金 | 売却した売掛金を減らす |
| 普通預金(当座預金) | ファクタリング会社からの入金、売掛先からの回収、送金 |
| 売上債権売却損 | ファクタリング手数料(売却で生じた損失)を計上する |
| 支払手数料 | 売上債権売却損の代わりに使うことがある。別建ての事務手数料など |
| 預り金(未払金) | 2社間で、売掛先から回収したお金をファクタリング会社に渡すまで |
| 未収入金 | 契約日と入金日がずれるとき、ファクタリング会社からの入金待ちの額 |
「売上債権売却損」は、売掛金などの売上債権を売ったときの損失を表す科目です。会計基準で名称が決まっている科目ではないため、実務では「債権売却損」などの名前で処理することもあります。
2社間ファクタリングの仕訳|売却時・回収時・送金時の流れ
2社間ファクタリングは、売掛先に知らせずに、利用者とファクタリング会社の2社だけで契約する方式です。売掛先は期日に、これまでどおり利用者へ支払います。利用者はそのお金をファクタリング会社へ送金するため、仕訳は3〜4回に分かれます。
ここでは、売掛金1,000,000円を手数料100,000円(10%)で売却し、900,000円を受け取る例で説明します(金額は説明用の仮の数字です)。
売掛金を計上したときの仕訳(ファクタリング前)
商品やサービスを提供して請求書を出した時点で、通常どおり売上と売掛金を計上します。ここはファクタリングを使わない場合と同じです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 1,000,000 | 売上高 | 1,000,000 |
ファクタリング会社から入金されたときの仕訳
ファクタリング会社と契約し、売掛金を売却して900,000円が入金されたときの仕訳です。売掛金を全額減らし、差額の100,000円を手数料として計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 900,000 | 売掛金 | 1,000,000 |
| 売上債権売却損 | 100,000 |
契約日と入金日がずれる場合(決算日をまたぐ場合など)は、契約日に「未収入金 900,000円」を計上し、入金日に「普通預金/未収入金」で消し込む処理をすることもあります。
売掛先から回収したときの仕訳
支払期日に、売掛先から1,000,000円が入金されたときの仕訳です。売掛金はすでに売却して消えているため、このお金はファクタリング会社に渡すための預かり金です。売上や売掛金の回収として処理しないでください。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 1,000,000 | 預り金 | 1,000,000 |
「預り金」の代わりに「未払金」などの科目で処理する実務もあります。
ファクタリング会社へ送金したときの仕訳
回収した1,000,000円を、ファクタリング会社へ送金したときの仕訳です。預り金を取り崩して、2社間ファクタリングの一連の仕訳が終わります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 預り金 | 1,000,000 | 普通預金 | 1,000,000 |
送金時の振込手数料を自社で負担した場合は、「支払手数料」などで別に計上します。2社間の契約形態の特徴は、2社間ファクタリングに対応する会社の比較でも確認できます。
3社間ファクタリングの仕訳|売掛先の支払いは仕訳不要
3社間ファクタリングは、売掛先の承諾を得て、売掛先からファクタリング会社へ直接支払ってもらう方式です。利用者のところをお金が通らないため、2社間より仕訳が少なくなります。
売掛金を計上するときの仕訳は、2社間と同じです。
3社間ファクタリングで入金されたときの仕訳
売掛金1,000,000円を手数料50,000円(5%)で売却し、950,000円が入金された例です(金額は説明用の仮の数字です)。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 950,000 | 売掛金 | 1,000,000 |
| 売上債権売却損 | 50,000 |
売掛先がファクタリング会社に支払ったときの会計処理
支払期日に売掛先がファクタリング会社へ直接支払っても、利用者の預金は動きません。売掛金もすでに消えているため、利用者側の仕訳は不要です。
3社間は手数料が低めになりやすい一方、売掛先の承諾が必要です。対応する会社は3社間ファクタリングに対応する会社の比較にまとめています。

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ファクタリング手数料の仕訳と勘定科目|売上債権売却損と支払手数料
ファクタリングの仕訳でいちばん迷いやすいのが、手数料の勘定科目と消費税区分です。
ファクタリング手数料を売上債権売却損で処理する考え方
ファクタリング手数料は、売掛金を額面より安く売ったことで生じた差額です。そのため一般的には、売却の損失として「売上債権売却損」で処理することが多いです。損益計算書では、営業外費用に表示することが多いです。
ファクタリング手数料を支払手数料などで処理する場合
会計ソフトに「売上債権売却損」がない場合は、科目を追加登録するのがすっきりします。追加しない場合は「支払手数料」などの科目で処理する実務もあります。
どの科目を選んでも、一度決めたら毎回同じ科目で処理することが大切です。期ごとに科目が変わると、損益の比較がしにくくなり、税務調査で理由を聞かれる原因にもなります。
ファクタリング手数料の消費税区分は非課税
国税庁は、消費税の非課税取引として「金銭債権などの譲渡」を挙げています。ファクタリングは売掛金(金銭債権)の譲渡にあたるため、手数料部分は一般に非課税として扱われます。会計ソフトでは「非課税仕入」などの区分を選ぶことが多いです。
また国税庁は、課税売上割合の計算で、特定の金銭債権の譲渡に係る売上高は総売上高・課税売上高のどちらにも含めないとしています。課税売上割合への影響が気になる場合は、税理士に確認してください。
見積もりや請求書に「手数料+消費税」と書かれている場合は、その内訳を業者に確認しましょう。手数料の水準そのものが妥当かどうかは、ファクット手数料指数で目安を確かめられます。
事務手数料・登記費用などファクタリングの諸費用の仕訳
ファクタリングでは、手数料とは別に、事務手数料・債権譲渡登記の費用・振込手数料などがかかることがあります。これらは手数料とまとめず、内容ごとに次のように分けて処理することが多いです。
| 費用 | よく使う勘定科目の例 | 消費税区分の目安 |
|---|---|---|
| ファクタリング手数料 | 売上債権売却損 | 非課税 |
| 別建ての事務手数料 | 支払手数料 | 内容により課税の場合あり |
| 司法書士報酬(登記の依頼) | 支払手数料・支払報酬 | 課税 |
| 登録免許税(債権譲渡登記) | 租税公課 | 対象外 |
| 振込手数料 | 支払手数料 | 課税 |
区分は契約書や請求書の書き方によって変わることがあります。判断に迷う項目は、書類を持って税理士に確認してください。
償還請求権ありのファクタリングの会計処理と注意点
償還請求権(ウィズリコース)とは、売掛先が支払わなかったときに、利用者がファクタリング会社から売掛金を買い戻す義務のことです。この義務が付いているかどうかで、会計処理の考え方が変わります。
金融資産の消滅の認識とファクタリングの会計処理
「金融商品に関する会計基準」では、売掛金などの金融資産の支配が他に移転したといえるのは、次の要件をすべて満たした場合とされています。
- 譲り受けた側の権利が、譲渡人とその債権者から法的に守られていること
- 譲り受けた側が、その権利を通常の方法で享受できること
- 譲渡人が、満期日前に買い戻す権利と義務を実質的に持っていないこと
同基準は、リコース権(遡求権)や買戻特約などを残したまま譲渡する場合について、移転した部分の消滅を認識し、残った部分は存続を認識する考え方(財務構成要素アプローチ)を採っています。また、消滅にともなって新たな金融資産・金融負債が生じた場合は、時価で計上するとしています。
つまり、償還請求権ありの契約では、売却として処理する場合でも残った買い戻しの義務をどう扱うかを検討する必要があります。具体的な処理は契約内容や会社の規模によって変わるため、税理士や監査法人に確認してください。
実態が借入に近いファクタリングの仕訳
契約の実態が借入に近い場合は、売却ではなく借入として処理することもあります。たとえば売掛金1,000,000円を担保のように使い、900,000円を受け取った場合の一例です(金額は説明用の仮の数字です)。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 900,000 | 借入金 | 1,000,000 |
| 支払利息 | 100,000 |
この場合、売掛金は消えず、売掛先から回収したときに売掛金を減らし、借入金を返済する形になります。どちらで処理するかは契約書の中身で判断が分かれるため、自己判断で決めないことが大切です。
なお、償還請求権が付いたファクタリングは、会計だけでなく法律面でも注意が必要です。実質的に貸付とみなされると、貸金業法などの対象になり得ます。金融庁も、ファクタリングを装った貸付について注意喚起しています。契約前の見分け方はファクタリングの償還請求権とノンリコースの違いで解説しています。
個人事業主のファクタリングの仕訳と勘定科目
個人事業主のファクタリングも、仕訳の考え方は法人と同じです。売掛金を減らし、受取額を預金、差額を手数料として費用に計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 270,000 | 売掛金 | 300,000 |
| 売上債権売却損 | 30,000 |
(売掛金300,000円を手数料30,000円で売却した例。金額は説明用の仮の数字です)
個人事業主向けの会計ソフトでは「売上債権売却損」が標準で入っていないことがあります。その場合は科目を追加するか、「支払手数料」などで処理することが多いです。入金先が事業用ではない個人の口座だった場合は、「事業主借」などの科目を使って処理します。
青色申告決算書・収支内訳書への書き方など、確定申告の詳しい手順は個人事業主の確定申告とファクタリングの経費処理で解説しています。個人事業主が使いやすい会社は、個人事業主に対応するファクタリング会社の比較で探せます。
ファクタリングの仕訳でよくある間違い
ファクタリングの仕訳では、次のような間違いがよく起こります。決算前に一度、帳簿を見直してみてください。
- 受取額だけで売上を計上する:売上は請求額(1,000,000円)のまま計上し、手数料は費用として別に計上します。受取額(900,000円)で売上を減らすと、売上と費用の両方がずれます。
- 2社間で回収したお金を売上や売掛金の回収にする:売掛金はすでに売却しているため、預り金などで処理します。売上にすると二重計上になります。
- ファクタリング手数料を課税仕入にする:手数料部分は一般に非課税です。課税仕入にすると、消費税の計算がずれます。
- 事務手数料や登記費用を手数料とまとめて処理する:消費税区分が違うものが混ざるため、内容ごとに分けて処理します。
- 期ごとに勘定科目を変える:売上債権売却損と支払手数料を行き来すると、比較しにくくなります。一度決めたら続けて使います。
- 売却なのに借入金で処理する(またはその逆):契約の実態と処理が合っているか、契約書で確認します。
- 企業会計基準委員会(ASBJ)「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」(第8項・第9項・第11項・第13項、結論の背景 第57項):会計基準一覧
- 国税庁 タックスアンサー「No.6201 非課税となる取引」
- 国税庁 タックスアンサー「No.6405 課税売上割合の計算方法」
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
監修:ストックオプションアドバイザリーサービス株式会社(ファイナンス領域の監修/信用リスクモデル「Crediflow」提供)
この記事の根拠と更新について:この記事は、上記の公的機関の公表情報にもとづき、ファクタリングの一般的な会計処理を説明したものです。勘定科目の名称や処理方法は、会社の規模・採用する会計基準・契約内容によって異なります。個別の会計処理・税務判断は、顧問税理士・公認会計士にご確認ください。最終更新:2026-10-26。
ファクタリングの仕訳のよくある質問

Qファクタリング手数料の勘定科目は何を使えばよいですか?
Qファクタリング手数料に消費税はかかりますか?
Q2社間ファクタリングで売掛先から入金されたお金は売上になりますか?
Q償還請求権ありのファクタリングはどう仕訳しますか?
Q個人事業主もファクタリングの仕訳は法人と同じですか?
【まとめ】ファクタリングの仕訳は「売却」と「勘定科目の統一」が基本
- ファクタリングは一般的に売掛金の売却として会計処理します。売掛金を減らし、受取額を預金、差額を手数料として費用にします。
- 手数料の勘定科目は売上債権売却損を使うことが多く、支払手数料などで処理する実務もあります。決めた科目は続けて使います。
- 2社間は、売掛先から回収したお金を預り金などで受け、ファクタリング会社へ送金して取り崩します。3社間は売掛先の支払い時に仕訳は不要です。
- 手数料部分は金銭債権の譲渡として非課税です。事務手数料や司法書士報酬などは区分を分けます。
- 償還請求権ありの契約は、実態によって処理が変わります。契約書を持って税理士に確認してください。
仕訳の手間を減らすうえでも、手数料が低く条件のはっきりした会社を選ぶことが大切です。手数料の相場はファクタリング手数料の相場と計算方法で、複数社の条件は無料一括見積もりでまとめて比べられます。




