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債権譲渡登記とは?ファクタリングで登記される条件・取引先にバレるリスクを解説

執筆者 ファクット編集部

債権譲渡登記とは、売掛金を譲渡した事実を法的に証明するための登記制度です。ファクタリングで登記が必要になる条件、取引先に知られるリスク、登記なしで利用できる契約形態まで、個人事業主・中小企業の経営者向けにわかりやすく解説します。

この記事の執筆者

ファクット編集部

ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。

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監修者 ろい氏

監修ろいFP / 宅地建物取引士 / 行政書士

ファクタリングを30社以上利用し、著書『ファクタリングのトリセツ』も出版した実務家が内容を確認しています。

契約書に「債権譲渡登記」と書かれていたら何を意味するか?

債権譲渡登記とは、売掛金を第三者に譲渡した事実を法務局に登記し、法的な対抗要件を備えるための制度だ。ファクタリング会社が二重譲渡などのリスクから自社の権利を守るために用いるもので、登記をすると「この売掛金は誰のものか」を公的に証明できる。

ファクタリングの契約書や見積もりに「債権譲渡登記費用」という項目を見つけて、不安になった経営者は少なくない。

「登記をすると取引先にバレるのではないか」 「なぜ自分が登記費用を払わなければならないのか」 「登記なしでファクタリングを使う方法はないのか」

こうした疑問に答えるには、まず債権譲渡登記が何のための制度なのかを正しく理解する必要がある。この記事では、登記の仕組みから、登記される条件、取引先に知られるリスク、そして登記なしで利用できる契約形態までを整理する。

債権譲渡契約と登記の仕組み
債権譲渡契約と登記の仕組み

債権譲渡登記とは何か——制度の目的を整理する

債権譲渡登記は、法人が売掛債権を譲渡した事実を法務局(東京法務局)に登録する制度だ。目的は、譲り受けた側が「この債権は自分のものだ」と第三者に主張できる対抗要件を備えること。これにより、同じ債権が別の相手に二重に譲渡されても、先に登記した側が優先される。

債権譲渡登記は、1998年に施行された「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(動産・債権譲渡特例法)」に基づく制度だ。

少し難しく聞こえるが、考え方はシンプルだ。売掛金という「目に見えない権利」は、現金や不動産と違って、誰が持っているのかが外からは分からない。そこで、「この売掛金はAさんからB社に譲渡されました」という事実を公的に記録しておくのが債権譲渡登記である。

なぜファクタリング会社は登記をしたがるのか

ファクタリング会社にとって最大のリスクは、買い取った売掛金が実は他社にも売られていた(二重譲渡)というケースだ。同じ売掛金を複数の会社が買い取ってしまえば、回収できるのは1社だけ。残りは大きな損失を被る。

債権譲渡登記をしておけば、先に登記した会社が法的に優先されるため、このリスクを大幅に減らせる。つまり登記は、ファクタリング会社が自社の債権を守るための「保険」のような役割を果たしている。

関連記事: 売掛金の二重譲渡とは?リスクと法的対策をわかりやすく解説

対抗要件とは何か——「通知」と「登記」の2つの方法

売掛債権の譲渡で対抗要件を備える方法は2つある。1つは債務者(売掛先)への通知・承諾、もう1つが債権譲渡登記だ。3社間ファクタリングは前者、2社間ファクタリングで登記を求める場合は後者を使う。どちらを使うかで、取引先に知られるかどうかが変わる。

民法上、債権譲渡を第三者に主張するには対抗要件が必要で、その方法は次の2通りに分かれる。

対抗要件の方法内容売掛先への影響主に使う契約形態
債務者への通知・承諾売掛先に「債権を譲渡した」と通知し、承諾を得る売掛先に必ず知られる3社間ファクタリング
債権譲渡登記法務局に譲渡の事実を登記する登記を調べない限り知られにくい2社間ファクタリング(登記あり)
ここが重要なポイントだ。3社間ファクタリングでは売掛先への通知が前提なので、そもそもファクタリングを使った事実が取引先に伝わる。一方、2社間ファクタリングは売掛先に通知しない代わりに、ファクタリング会社が登記によって対抗要件を備えることがある。
2社間と3社間ファクタリングの違い
2社間と3社間ファクタリングの違い
関連記事: 2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い

ファクタリングで債権譲渡登記が必要になる条件

債権譲渡登記が行われるかは、契約形態とファクタリング会社の方針で決まる。3社間では原則不要、2社間では「登記あり」「登記なし(留保)」の両方が存在する。法人は登記が可能だが、個人事業主は債権譲渡登記制度を利用できない点も押さえておきたい。

契約形態ごとの登記の扱い

契約形態債権譲渡登記理由
3社間ファクタリング原則不要売掛先への通知・承諾で対抗要件を備えるため
2社間ファクタリング(登記あり)必要売掛先に通知しない分、登記でリスクヘッジするため
2社間ファクタリング(登記なし・留保)不要会社が登記を求めない方針、またはオンライン審査で代替するため

個人事業主は登記できない点に注意

債権譲渡登記制度は、法人(株式会社・合同会社など)が譲渡人の場合のみ利用できる。個人事業主が売掛金を譲渡する場合、この登記制度は使えない。

そのため個人事業主のファクタリングでは、登記を行わない2社間契約が中心になる。「個人事業主だから登記されるのでは」と心配する必要はないが、その分ファクタリング会社は審査を慎重に行う傾向がある。

関連記事: ファクタリング契約で確認すべきポイント

債権譲渡登記をすると取引先にバレるのか?

結論から言えば、登記をしただけで自動的に売掛先へ通知されることはない。しかし登記情報は誰でも取得できる公開情報のため、売掛先が登記を調べれば知られる可能性は残る。「絶対にバレない」わけではない点を正しく理解しておくことが大切だ。

ここが多くの経営者が最も気にするポイントだろう。順を追って整理する。

登記しても自動通知はされない

債権譲渡登記をしても、法務局から売掛先へ「あなたの取引先がファクタリングを使いました」という連絡が届くことはない。登記はあくまで記録であって、通知の仕組みではない。

ただし登記情報は「公開情報」である

注意したいのは、債権譲渡登記の情報は登記事項概要証明書などで第三者も取得できるという点だ。売掛先が何らかの理由で取引先の登記を調べた場合、債権譲渡の事実が判明する可能性はゼロではない。

とはいえ、実務上、売掛先が日常的に取引先の債権譲渡登記をチェックしているケースはまれだ。「理論上は知られうるが、通常の取引では表面化しにくい」というのが実態に近い。

売掛先への通知が必要になる場面

例外的に、売掛先に知られる可能性が高まるのは次のようなケースだ。

  • 利用者が支払いを滞らせ、ファクタリング会社が売掛先から直接回収(債権譲渡通知の送付)に動いた場合
  • 売掛先が金融機関の融資審査などで取引先の登記情報を確認した場合
つまり、契約どおりにきちんと支払いを行っていれば、登記が原因で取引先に知られるリスクは低い。問題が起きるのは、利用者側が支払いを履行できなくなったときだ。
登記情報の公開リスクに注意
登記情報の公開リスクに注意

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債権譲渡登記の費用と手続きの流れ

債権譲渡登記には登録免許税と司法書士報酬がかかり、合計5万〜10万円前後が一般的だ。費用は通常ファクタリング利用者が負担するため、手数料とは別のコストとして見積もり時に確認する必要がある。手続きはファクタリング会社が手配する司法書士を通じて行われる。

費用の内訳

項目金額の目安備考
登録免許税7,500円〜/件債権の個数が5,000個以下の場合。件数が多いと加算
司法書士報酬3万〜8万円程度事務所により異なる
抹消登記費用数千円〜1万円程度取引終了時に登記を抹消する場合
合計の目安5万〜10万円前後案件規模により変動
この費用は手数料(買取手数料)とは別建てでかかるのが一般的だ。手数料率だけを見て契約すると、後から登記費用が上乗せされて「思ったより手取りが少ない」となりかねない。

手続きの流れ

  • ファクタリング契約の締結
  • ファクタリング会社が提携する司法書士へ登記を依頼
  • 司法書士が東京法務局へ債権譲渡登記を申請
  • 登記完了(通常は申請から数日程度)
  • 取引終了後、必要に応じて抹消登記
  • 利用者自身が法務局に出向く必要はなく、書類の準備と費用負担が主な役割になる。

    関連記事: ファクタリング契約前のチェックリスト

    債権譲渡登記なしでファクタリングを利用する方法

    登記費用を抑えたい、取引先に知られるリスクを避けたいなら、「登記なし(登記留保)」で契約できるファクタリング会社を選ぶのが有効だ。3社間ファクタリングや、オンライン完結型の2社間ファクタリングには登記を求めない会社が増えている。

    登記なしを選べる主なパターン

    ① 3社間ファクタリングを使う

    売掛先の承諾を得る3社間方式なら、通知で対抗要件を備えるため登記は不要だ。手数料も2社間より低い傾向がある。ただし売掛先にファクタリング利用を知られる前提になる。

    ② オンライン型の2社間ファクタリングを使う

    近年は、AI審査やクラウド会計データの連携によって、登記なしで2社間ファクタリングを提供する会社が増えている。登記費用がかからないため、少額・短サイトの利用に向く。

    ③ 個人事業主向けのサービスを使う

    前述のとおり個人事業主は登記制度を利用できないため、個人事業主・フリーランス特化のサービスでは登記なしが基本だ。

    オンライン完結型なら登記なしも選べる
    オンライン完結型なら登記なしも選べる

    登記なしを選ぶときの確認ポイント

    確認項目チェック内容
    登記の有無契約書・見積もりに「債権譲渡登記」の記載があるか
    登記留保の条件どのような場合に登記が必要になるか(金額・支払遅延時など)
    費用の総額手数料に登記費用・事務手数料を加えた実質コスト
    売掛先への通知2社間でも通知が発生する条件はないか
    登記なしは便利だが、その分ファクタリング会社のリスクが高まるため、手数料がやや高めに設定されることがある。「登記なし=得」とは限らないので、総コストで比較することが重要だ。
    関連記事: オンラインファクタリングの仕組みとメリット

    債権譲渡登記をめぐるよくある誤解

    債権譲渡登記には、「登記=必ず取引先にバレる」「登記されると信用情報に傷がつく」といった誤解が多い。正しく理解しておかないと、必要以上に不安になったり、逆にリスクを軽視したりしかねない。代表的な誤解を整理しておく。

    よくある誤解実際のところ
    登記すると取引先に自動で通知される自動通知はない。ただし登記情報は公開されている
    登記されると個人の信用情報(CIC等)に傷がつく債権譲渡登記は商業登記であり、個人信用情報機関には記録されない
    ファクタリングは必ず登記される契約形態・会社方針による。登記なしも選べる
    登記費用はファクタリング会社が払う一般的には利用者負担。見積もりで要確認
    個人事業主も登記される個人事業主は登記制度を利用できない
    特に「信用情報に傷がつく」という誤解は多いが、債権譲渡登記は会社の登記情報に記録されるものであり、個人信用情報機関のブラックリストとは無関係だ。融資審査で会社の登記を確認された際に「資金繰りに窮しているのでは」と推測される可能性はあるものの、自動的に信用が下がるわけではない。

    まとめ

    • 債権譲渡登記とは、売掛金を譲渡した事実を法務局に登記し、法的な対抗要件を備える制度
    • ファクタリング会社は二重譲渡などのリスクから自社の権利を守るために登記を利用する
    • 3社間は原則登記不要、2社間は「登記あり」「登記なし」の両方が存在する
    • 登記しても自動通知はないが、登記情報は公開情報のため知られる可能性はゼロではない
    • 登記費用は通常利用者負担で、合計5万〜10万円前後かかることが多い
    • 個人事業主は登記制度を利用できず、登記なしの2社間が中心になる
    • 登記を避けたいなら、契約前に「債権譲渡登記の有無」と総コストを必ず確認する
    債権譲渡登記は、ファクタリングを安全に利用するための仕組みであり、必ずしも避けるべきものではない。大切なのは、自社の状況(法人か個人か、取引先に知られたくないか、コストを抑えたいか)に合った契約形態を選ぶことだ。契約前に登記の有無と費用を確認し、納得したうえで利用しよう。
    関連記事: ファクタリング契約で確認すべきポイント

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    この状況でファクタリングを使うべきケース/使わない方がいいケース

    ファクタリングは「売掛金を期日前に現金化する」手段です。資金繰りの 課題すべてに最適なわけではないため、向くケース・向かないケースを 整理しておきましょう。

    使うべきケース

    • 売掛金はあるが入金待ちで、一時的に資金が不足している
    • 銀行融資が間に合わない/審査に時間をかけられない
    • 担保・保証人を用意できない、決算内容に不安がある
    • 短期・単発の資金需要で、回収後に解消する見込みがある

    使わない方がいいケース

    • 慢性的な赤字・恒常的な資金不足(手数料負担で資金繰りが さらに悪化し、多重債務に陥るおそれ)
    • 低金利の融資・公的支援が間に合う、または併用すべき状況
    • そもそも売掛金がない、将来債権頼みでの利用
    • 手数料の水準やレンジを開示しない事業者しか選択肢がない

    ※ 金融庁も、高額な手数料のファクタリングは資金繰りの悪化・多重債務に つながるおそれがあると注意喚起しています。手数料は売掛先の信用力・ 金額・期日・契約形態等で変動します。利用前に複数社の条件を比較し、 本当に必要かを見極めてください。

    次のステップ

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    執筆

    ファクット編集部(監修: ろい

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