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経営・資金繰り

ファクタリングと銀行融資は「コストで比較する」のが間違い|まず2軸で切る

執筆者 ファクット編集部

ファクタリングと銀行融資をコスト(手数料%対金利%)で並べると、ほぼ常に銀行融資が安く見えてしまい判断にならない。本来比較すべきは『間に合うか』『そもそも借りられるか』の2軸で、それを先に切ったうえでコストを最後に当てる。ファクット掲載248社の指数を地図にした実勢ベースの判断手順を示す。

この記事の執筆者

ファクット編集部

ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。

アドバイザリー監修

弁護士・公認会計士・司法書士・税理士・行政書士など各種国家資格の保有者が在籍するSOASがアドバイザリーとして編集体制を監修しています。

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監修者 ろい氏

監修ろいFP・宅地建物取引士・行政書士/ファクタリング比較ラボ主宰

ファクタリングを30社以上利用し、著書『ファクタリングのトリセツ』も出版した実務家が内容を確認しています。

ファクタリングと銀行融資の比較
ファクタリングと銀行融資の比較

「手数料10% vs 金利2%」の比較は、たいてい判断を間違えます

ファクタリングと銀行融資の比較は、ほとんどの記事がコスト計算から始まります。500万円を調達するとして、銀行融資なら年利2%で利息は10万円、ファクタリングなら手数料10%で50万円——「5倍のコスト差」というふうに。

この計算自体は、数字として正しいんです。でも、実務で使う「決め方」としては、ほとんど役に立ちません

理由は2つあります。

  • そのコスト計算は、両方が選べる前提でしか成り立ちません。実際には、片方しか選べない場面のほうが多いんです。
  • コストが5倍違っても、間に合わなければ意味がありません
正しい比較の順番は、コストを最後に置くこと。先に「間に合うか」「そもそも借りられるか」の2軸で切って、両方とも残った場合だけ、コストで決めます。この記事は、その順番でご案内していきます。

まず数字を置きます——ファクット掲載248社の実勢(2026-05-16時点)

「ファクタリングの手数料は5〜20%」という大ざっぱな幅では、銀行融資の年利1〜3%と並べた瞬間に、判断がゆがんでしまいます。まずは掲載248社の指数を、地図として置いておきましょう。

指標
2社間ファクタリング 指数11.1%
3社間ファクタリング 指数5.3%
公表手数料 下限の中央値3%
公表手数料 上限の中央値15%
最短即日〜翌日入金に対応掲載社の約8割(約84%)
個人事業主に対応ほぼ全社が対応
出典:ファクット掲載248社の公開条件をもとに集計(2026-05-16時点・β版)。最新値は手数料指数をご覧ください。

ここで読み取ってほしいのは、ファクタリングの代表値は11.1%(2社間)/5.3%(3社間)であって、20%ではないということです。比較に入る前に「実勢の指数」を持っておくと、銀行融資との差は、記事でよく見かける数字よりずっと小さくなります。

比較表のイメージ
比較表のイメージ

軸1:「間に合うか」——時間がない場面では、銀行融資は選べません

これが第1の切り口です。コストの話をする前に、今回の資金需要が、銀行融資にかかる時間に耐えられるかを見ます。

資金調達手段必要な時間(実勢)
2社間ファクタリング(オンライン完結)最短即日〜翌日
2社間ファクタリング(対面)即日〜3営業日
3社間ファクタリング1〜2週間(売掛先の承諾にかかる時間)
銀行プロパー融資1〜2ヶ月
信用保証協会付き融資2週間〜1ヶ月
日本政策金融公庫2週間〜1ヶ月
制度融資(自治体経由)1〜3ヶ月
掲載248社のうち208社(約84%)が、最短即日〜翌日に対応しています。一方で、銀行融資はどの種類でも、最低2週間はかかります。

判断のための問いは、こうです。

  • 必要なのは今月中ですか? → ファクタリング一択です。銀行融資は時間切れになります。
  • 必要なのは2〜3ヶ月先ですか? → 銀行融資が間に合います。コストでも有利です。
  • 必要なのは1ヶ月後ですか? → 信用保証協会付き融資や公庫が間に合うかもしれません。並行で動きましょう。
「銀行融資のほうが安いから、銀行融資にする」と決めた経営者が、審査に1ヶ月かかっている間に資金ショートしてしまう——これが、コストで先に判断したときの典型的な失敗です。スピードの差は、数十万円のコスト差よりも重いんです。
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軸2:「そもそも借りられるか」——銀行審査が通らない条件は、事前にわかります

第2の切り口は、自社が銀行融資の審査を通る状態にあるかです。これは、見積もりを取る前でも、決算書を見ればだいたいわかります。

銀行融資(プロパー/保証協会付き)の審査で、かなり不利になる条件は次のとおりです。

  • 直近期が赤字(とくに2期連続)
  • 債務超過(資産<負債)
  • 税金・社会保険料の滞納がある
  • 創業1年未満で、売上の実績が乏しい
  • 既存の借入で、返済の遅延や条件変更をしたことがある
  • 業種が銀行の規制対象(一部の風俗・暗号資産関連など)
これらに当てはまる場合、コスト計算をしても、銀行融資は選択肢に入りません。「コスト差5倍」は、そもそも比べられる土俵に乗っていないんです。

一方で、ファクタリングの審査が見るのは売掛先の信用力です。掲載248社のうち248社(約99.6%)が、個人事業主に対応しています。自社の財務が痛んでいても、上場企業・官公庁・大手子会社からの請求書があれば、通る確率は高くなります。

判断のための問いは、こうです。

  • 直近期が黒字・債務超過なし・滞納なし → 銀行融資が現実的に通ります。軸3(コスト)へ進みましょう。
  • 赤字/債務超過/滞納あり、ただし大手取引先からの売掛金がある → ファクタリングです。
  • 赤字/債務超過で、売掛金も小規模な取引先のみ → どちらも厳しいです。補助金や、公庫の創業/再生支援などを別途検討しましょう。

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軸3:両方残った場合だけ、コストで比較します

軸1で「時間がある」と判定し、軸2で「銀行融資も通る」と判定した場合だけ、コストで比較する意味が出てきます。

単純なコスト比較(500万円・1年の運転資金)

手段直接コスト補足
銀行融資(信用保証協会付き)利息 約10万円(年利2%)+ 保証料 約4万円合計 約14万円
銀行プロパー融資利息 約10万円(年利2%)合計 約10万円
3社間ファクタリング(指数5.3%)手数料 約26.5万円(一回限り)売掛金1回ぶんの話
2社間ファクタリング(指数11.1%)手数料 約55.5万円(一回限り)売掛金1回ぶんの話
単純な数字で見れば、銀行融資の圧勝です。でも、ファクタリングは一回限り・返済の義務なし。銀行融資のほうは、返済の期間中ずっと、利息と返済の負担が続きます。同じ500万円でも、資金繰りへの効き方は違うんです。

そして、本当に大事なのは、次の項目です。

コスト比較に隠れた、もう一つの軸:「これから融資を受けたいか」

近い将来(数ヶ月〜1年以内)に銀行融資を申し込む予定があるなら、コスト計算の意味が変わってきます。

  • ファクタリングは負債を増やしません(オフバランス=決算書に借金として載らないこと)。次の融資審査で見られる自己資本比率・負債比率に、影響しません。
  • 銀行融資は当然ながら負債が増えるので、次の融資審査のときに、財務指標が悪くなります。
たとえば「3ヶ月後に1億円の設備投資の融資を受けたい。その前のつなぎ資金として500万円が必要」というケース。ここで500万円を銀行で借りてしまうと、1億円の融資審査に響きます。一回限り55.5万円のファクタリングのほうが、戦略として正しいことがあるんです。

直接のコストだけ見れば、銀行融資が5倍安い。でも、「次の融資に備える価値」を金額に置き換えてみると、ファクタリングの55.5万円のほうが割安になる場面はあります。

「併用」が当たり前——どちらか1つを選ぶ問題ではありません

ここまで来ると、「ファクタリングと銀行融資のどちらか」という枠組みそのものが、実はあまり実務的ではないことが見えてきます。

健全な中小企業の資金繰りでは、両方を使い分けるのが普通なんです。

  • 長期の運転資金 / 設備投資:銀行融資(年利1〜3%)で組みます
  • 短期のつなぎ資金(売掛入金待ち):ファクタリングで埋めます
  • 融資審査の準備期間中:ファクタリングでつなぎつつ、財務を悪化させないようにします
  • 大型受注の運転資金(短期):売掛が立ったら、ファクタリングで早めに回収します
  • 季節変動・賞与の資金:通常は銀行枠で、間に合わなければファクタリングで
「ファクタリングは最後の手段」「銀行融資が王道」のように序列で考えてしまうと、使えるはずの手段を1つ捨てることになります。資金繰りの道具として並べて持っておいて、今回の状況に対してどちらが正解かを毎回選ぶ。これが、いちばん安定する運用です。

ケース別の早見表(このまま判断ツールとして使えます)

状況第一選択理由
今週中に資金が必要ファクタリング(2社間)銀行は時間切れ
来月中に資金が必要信用保証協会付き融資 / 公庫スピードと低コストの両立
半年以上先の資金銀行プロパー融資低コストで腰を据えて
| 赤字決算 / 創業1年未満 | ファクタリング | 銀行審査が現実的に通らない | | 上場企業・官公庁の売掛金あり | ファクタリング(3社間優先) | 低指数(約5.3%)で出せる | | 数千万〜億単位の長期資金 | 銀行融資 | ファクタリングは売掛金が上限 | | 3ヶ月以内に大口融資申込予定 | ファクタリングでつなぐ | 負債を増やさない選択 | | 黒字・財務良好・時間に余裕あり | 銀行融資 | コスト最優先 | | 既存借入の返済中で枠を増やしたくない | ファクタリング | オフバランス効果 |

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銀行融資とファクタリング、どちらを当てるか決めた後にやること

ここで決めた方針は、次の3記事で具体化できます。

「コスト5倍差」だけを見て決めずに、軸1(間に合うか)→ 軸2(借りられるか)→ 軸3(コスト+次の融資への影響)の順番で切っていけば、ほとんどのケースで、判断に迷わなくなります。

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この状況でファクタリングを使うべきケース/使わない方がいいケース

ファクタリングは「売掛金を期日前に現金化する」手段です。資金繰りの 課題すべてに最適なわけではないため、向くケース・向かないケースを 整理しておきましょう。

使うべきケース

  • 売掛金はあるが入金待ちで、一時的に資金が不足している
  • 銀行融資が間に合わない/審査に時間をかけられない
  • 担保・保証人を用意できない、決算内容に不安がある
  • 短期・単発の資金需要で、回収後に解消する見込みがある

使わない方がいいケース

  • 慢性的な赤字・恒常的な資金不足(手数料負担で資金繰りが さらに悪化し、多重債務に陥るおそれ)
  • 低金利の融資・公的支援が間に合う、または併用すべき状況
  • そもそも売掛金がない、将来債権頼みでの利用
  • 手数料の水準やレンジを開示しない事業者しか選択肢がない

※ 金融庁も、高額な手数料のファクタリングは資金繰りの悪化・多重債務に つながるおそれがあると注意喚起しています。手数料は売掛先の信用力・ 金額・期日・契約形態等で変動します。利用前に複数社の条件を比較し、 本当に必要かを見極めてください。

次のステップ

ファクタリングは会社ごとに手数料・入金スピード・対応条件が大きく異なります。 記事の内容を踏まえて、実際に会社を比較し、自分の状況に合う1社を見つけましょう。

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執筆

ファクット編集部(監修: ろい

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