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資金調達

不動産担保融資とは?金利・LTV・審査基準をわかりやすく解説

公開 2026-05-26ファクット編集部

自宅・事業用不動産を担保にまとまった資金を低金利で長期調達できる『不動産担保融資』を、中小企業・個人事業主向けに徹底解説。金利水準・LTV(担保掛目)・審査スピードのリアル、ノンバンクと銀行の違い、ファクタリングとの使い分けまで整理します。

この記事の執筆者

ファクット編集部

ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。

アドバイザリー監修

弁護士・公認会計士・司法書士・税理士・行政書士など各種国家資格の保有者が在籍するSOASがアドバイザリーとして編集体制を監修しています。

執筆者プロフィール・編集体制を見る
監修者 ろい氏

監修ろいFP・宅地建物取引士・行政書士/ファクタリング比較ラボ主宰

ファクタリングを30社以上利用し、著書『ファクタリングのトリセツ』も出版した実務家が内容を確認しています。

不動産担保融資で「自宅も担保に?」と聞かれる前に知っておく

事業資金の打ち合わせで、銀行員から「ご自宅の登記事項証明書をお持ちいただけますか」と切り出されたら、それは不動産担保融資の打診だ。

担保を入れる、ということに心理的な抵抗を感じる経営者は多い。しかし冷静に数字で見ると、不動産担保融資は中小企業・個人事業主にとって最も金利が低く、最も長く借りられる手段の一つだ。無担保で年率10〜15%のビジネスローンを借りるくらいなら、自宅に抵当権を設定して年率2〜3%で借りた方が、月々のキャッシュフローも総返済額も圧倒的に楽になる。

この記事では、不動産担保融資の仕組み・金利・LTV・審査スピードを実務目線で整理し、ファクタリングや無担保ローンとの使い分けまで踏み込む。

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不動産担保融資の基本構造

仕組み自体はシンプルだ。

  1. 借り手が所有不動産を担保として差し入れる
  2. 貸し手(銀行・ノンバンク等)が抵当権を登記する
  3. 担保評価額の一定割合を上限に融資を実行する
  4. 返済できなくなった場合、貸し手は担保を競売・任意売却にかけて回収する

担保があることで貸し手のリスクが下がるため、無担保融資より金利が低く、返済期間が長く取れるのが最大のメリットだ。

不動産担保融資で担保にできる不動産の種類

種類担保適性補足
自宅(持ち家)最も一般的。経営者・個人事業主の主力担保
事業用不動産(自社所有)工場・店舗・倉庫・本社ビルなど
投資用マンション・アパート収益還元価値で評価される
親族名義の不動産物上保証として可。所有者の同意が必須
借地権・底地評価額が下がりやすい
農地・市街化調整区域×売却困難なため、ほぼ評価されない

実務では「自宅 or 事業用不動産」が9割以上を占める。

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金利水準:調達コストの全体像

不動産担保融資は、貸し手の業態によって金利が大きく分かれる

業態金利レンジ(年率)特徴
メガバンク・地方銀行1〜3%最も低金利。ただし審査は厳しめ・時間長い
信用金庫・信用組合2〜4%地域密着。中小・個人事業主に親身
日本政策金融公庫1〜3%制度融資の一環として活用可。ただし不動産担保はメイン手段ではない
不動産担保ローン専業ノンバンク3〜9%審査スピード・LTV共に高め。金利は銀行の2〜3倍
商工ローン・街金9〜15%緊急時の最終手段。長期で借りる相手ではない

同じ担保・同じ借り手でも、銀行系とノンバンクで金利が5%以上開くのは珍しくない。たとえば3,000万円を10年で借りた場合、金利2%と金利7%では総返済額が約900万円違う。

「審査スピードが速い」というメリットでノンバンクを選んでしまう前に、まず銀行系で1〜2社打診するのが鉄則だ。

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LTV(担保掛目):「いくら借りられるか」の公式

LTV(Loan to Value)は、担保不動産の評価額に対する貸付額の比率だ。

LTV = 融資額 ÷ 担保評価額

LTVが高いほど多く借りられるが、貸し手のリスクが上がるため金利も上がる傾向がある。

業態別のLTV目安

業態LTV目安評価額3,000万円の場合の融資上限例
メガバンク・地方銀行60〜70%1,800〜2,100万円
信用金庫65〜75%1,950〜2,250万円
ノンバンク70〜90%2,100〜2,700万円

ここで重要なのは「担保評価額 ≠ 売却価格」という点だ。

評価額は実勢価格より下に出る

貸し手は担保を確実に回収できる必要があるため、実勢価格より保守的に評価する。一般的な算出式の例は以下のとおり。

評価方法算出式の概要
路線価ベース路線価 × 面積 × 70〜80%(土地)
公示地価ベース公示地価 × 面積 × 70%(土地)
不動産鑑定評価ベース鑑定評価額 × 60〜80%
収益還元法年間家賃収入 ÷ 還元利回り(投資不動産)

実勢価格5,000万円の自宅でも、貸し手の評価では3,000〜3,500万円程度に出ることが多い。さらにLTV70%なら融資額の上限は2,100〜2,450万円となる。

「自宅を担保に5,000万円借りられる」と短絡的に考えると失算する。実勢価格の4〜5割が現実的な上限と覚えておくと良い。

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監修者 ろい監修者 ろいFP・宅地建物取引士・行政書士

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審査基準と必要書類

担保があっても借り手の返済能力は審査される。担保はあくまでセーフティネットであって、貸し手は競売を前提に貸すわけではない。

主な審査項目

審査項目チェックされる内容
担保不動産の評価立地・築年数・面積・既存抵当権の有無
借り手の返済能力売上・利益・キャッシュフロー・既存借入残高
使途の合理性設備投資・運転資金・借換えなど明確な目的があるか
借入完済時の年齢経営者の年齢+返済期間で完済年齢を確認
既存抵当権の状況1番抵当でない場合は順位が下がり評価減

不動産担保融資の提出書類の標準セット

法人の場合:

  • 決算書(直近3期分)と税務申告書
  • 試算表(直近月)
  • 商業登記簿謄本・定款
  • 担保不動産の登記事項証明書・公図・建物図面
  • 固定資産税評価証明書
  • 経営者の本人確認書類・収入証明

個人事業主の場合:

  • 確定申告書(直近3年分)
  • 開業届のコピー
  • 担保不動産関連書類(同上)
  • 本人確認書類

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不動産担保融資の審査スピード:「即日」は基本的に出ない

不動産担保融資は、担保評価・登記確認・抵当権設定の3工程が必須のため、無担保ローンより必ず時間がかかる。

業態申込〜実行までの目安
メガバンク・地方銀行3〜6週間
信用金庫2〜4週間
不動産担保ローン専業ノンバンク最短3営業日〜2週間
日本政策金融公庫3〜5週間

「ノンバンクなら最短3営業日」というキャッチコピーは事実だが、事前審査がスムーズに通った場合の最短値であって、実態は1〜2週間かかることが多い。

緊急の資金繰り(今週中に支払い必要、月末の手形決済が間に合わない、など)に不動産担保融資は間に合わない。この場合の現実解は次の通り:

  1. ファクタリングで売掛金を即日現金化し、当座をしのぐ
  2. その間に不動産担保融資を腰を据えて申し込む
  3. 融資が実行されたら、ファクタリングは緊急用に戻す

「即金性のファクタリング」と「低金利・長期の不動産担保融資」は役割がまったく違うことを押さえておく。

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不動産担保ローンのメリット

  • 金利が低い:無担保ローン・ビジネスローンと比較して2分の1〜10分の1
  • 借入額が大きい:数百万円〜数億円まで対応可能
  • 返済期間が長い:最長20〜30年。月々の返済負担を圧縮できる
  • 使途の自由度が高い:設備投資・運転資金・借換え・事業承継など多目的
  • 赤字決算でも借りられる可能性がある:担保価値があれば、業績だけで弾かれにくい

不動産担保ローンのデメリット

  • 担保不動産を失うリスク:返済不能時は競売・任意売却
  • 諸費用が高い:登記費用・印紙税・事務手数料で借入額の2〜5%
  • 審査時間が長い:即日資金には絶対に間に合わない
  • 既存抵当権がある場合は不利:2番抵当以下では条件が大きく悪化
  • 借入後の自由度が下がる:担保解除まで売却・建替えが制限される

特に諸費用の見落としは要注意だ。3,000万円の借入なら、抵当権設定登記費用(借入額×0.4%)=12万円、印紙税2万円、事務手数料1〜3%=30〜90万円。合計で50〜100万円が初期コストとして発生する。

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ファクタリングとの使い分け

不動産担保融資とファクタリングは、性質が真逆の手段だ。どちらが優れているという話ではなく、役割が違う

比較項目不動産担保融資ファクタリング(2社間)
コスト金利1〜9%(年率)手数料5〜15%(取引ごと)
限度額数百万円〜数億円売掛金の範囲内
審査スピード2週間〜6週間最短即日
必要なもの不動産+返済能力売掛金+取引実績
返済期間最長20〜30年売掛金回収日に一括
担保・保証不動産担保必須不要
会計上の扱い負債計上オフバランス可能
失敗時のリスク担保不動産を失う売掛金が入らない場合の買戻し(条件次第)

不動産担保融資とファクタリングの使い分け指針

不動産担保融資を使うべき場面:

  • 設備投資・店舗開設など、数千万円〜数億円の長期資金が必要
  • 既存の高金利ローンを借換えて、月々の返済負担を下げたい
  • 事業承継・M&Aの買収資金
  • 銀行からの「信用枠」を温存しつつ、ノンバンクで機動的に資金を確保したい

ファクタリングを使うべき場面:

  • 今週・今月の支払いに間に合わない緊急資金
  • 大口受注後の立替資金(仕入・人件費の先行支出)
  • 不動産担保融資の審査期間中のつなぎ資金
  • 売掛金は十分にあるが、担保となる不動産がない

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不動産担保融資の失敗例:「やってはいけない」3パターン

1. ノンバンクで安易に借りて、銀行枠を潰す

ノンバンクで1番抵当を設定すると、銀行は2番抵当以下になり、その後の銀行融資はほぼ通らなくなる。最初に銀行系へ打診するのが鉄則だ。

2. 担保評価額を実勢価格と勘違いする

「自宅は5,000万円で買ったから5,000万円借りられる」という前提で資金計画を立てると、評価額が3,000万円しか出ず、計画が破綻する。事前に複数社の評価額をヒアリングしてから本申込みする。

3. 親族名義の不動産を黙って差し入れる

物上保証は法律上は所有者の同意があれば可能だが、家族間で十分なコンセンサスがないと、後で深刻なトラブルになる。所有者本人が同席して説明を聞くのが望ましい。

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よくある質問

Q

不動産担保融資とは何ですか?

自宅・事業用不動産・親族名義の不動産などに抵当権を設定し、その評価額の一定割合を上限に融資を受ける手法です。担保がある分、無担保ローンより金利が低く、返済期間も長く(最長30年程度まで)取れるのが特徴です。借入金額は数百万円〜数億円までと幅広く、設備投資・運転資金・事業承継・借換えなど多目的に使えます。
Q

金利はどれくらいですか?

メガバンク・地方銀行で年1〜3%台、信用金庫で年2〜4%台、ノンバンクで年3〜9%台が一般的なレンジです。同じ事業者でも、銀行とノンバンクで金利差が5%以上開くケースは珍しくありません。長期で借りる場合、金利1%の差は総返済額で数百万円単位の違いになるため、まず銀行系から打診するのが定石です。
Q

いくらまで借りられますか?

担保不動産の評価額に対する『LTV(Loan to Value)』で決まります。銀行系は評価額の60〜70%、ノンバンクは70〜90%まで貸す例があります。ただし評価額は『路線価×70〜80%』『不動産鑑定評価×掛目』など各社の独自基準で算出されるため、実勢価格より3〜4割低く出ることもあります。事前にレンジを試算した上で、複数社に打診するのが現実的です。
Q

審査はどのくらい時間がかかりますか?

銀行系で2〜6週間、ノンバンクで最短3営業日〜2週間が目安です。担保不動産の登記情報・評価・抵当権の確認に時間がかかるため、無担保ビジネスローン(最短即日)よりは遅くなります。急ぎの資金繰りには向かないため、緊急時はファクタリングなど即日系の手段で『つなぎ』を確保し、不動産担保融資は腰を据えた中長期資金として使うのが実務的です。
Q

ファクタリングと不動産担保融資はどう使い分けますか?

性質が真逆の手段なので、補完的に使うのが正解です。不動産担保融資は『低金利・長期・大口・審査時間長い』、ファクタリングは『高めの手数料・短期・売掛金の範囲・最短即日』。設備投資や借換えなど『腰を据えて使う資金』は不動産担保融資、入金待ちのギャップ埋めや急な支払いは2社間ファクタリング、というのが基本的な棲み分けです。

まとめ

  • 不動産担保融資は金利1〜9%・最長30年・数千万円規模まで対応できる、中小企業・個人事業主にとって最強クラスの長期資金調達手段
  • LTVは銀行系60〜70%、ノンバンク70〜90%。評価額は実勢価格の6〜8割が目安
  • 審査は2週間〜6週間。緊急資金には不向きで、急ぎはファクタリングでつなぐのが現実的
  • 諸費用が借入額の2〜5%発生する点に注意。借換え目的なら諸費用込みで採算を試算する
  • 最初に銀行系へ、次に信金、最後にノンバンク。順番を間違えると銀行枠を潰す
  • ファクタリングとは性質が真逆の補完関係。長期は不動産担保融資、短期はファクタリングで使い分けるのが理想

不動産という「動かしにくい資産」を、低金利で「動くお金」に変える——これが不動産担保融資の本質だ。担保を入れる重みを理解した上で、最も合理的な選択肢として活用したい。

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この状況でファクタリングを使うべきケース/使わない方がいいケース

ファクタリングは「売掛金を期日前に現金化する」手段です。資金繰りの 課題すべてに最適なわけではないため、向くケース・向かないケースを 整理しておきましょう。

使うべきケース
  • 売掛金はあるが入金待ちで、一時的に資金が不足している
  • 銀行融資が間に合わない/審査に時間をかけられない
  • 担保・保証人を用意できない、決算内容に不安がある
  • 短期・単発の資金需要で、回収後に解消する見込みがある
使わない方がいいケース
  • 慢性的な赤字・恒常的な資金不足(手数料負担で資金繰りが さらに悪化し、多重債務に陥るおそれ)
  • 低金利の融資・公的支援が間に合う、または併用すべき状況
  • そもそも売掛金がない、将来債権頼みでの利用
  • 手数料の水準やレンジを開示しない事業者しか選択肢がない

※ 金融庁も、高額な手数料のファクタリングは資金繰りの悪化・多重債務に つながるおそれがあると注意喚起しています。手数料は売掛先の信用力・ 金額・期日・契約形態等で変動します。利用前に複数社の条件を比較し、 本当に必要かを見極めてください。

次のステップ

ファクタリングは会社ごとに手数料・入金スピード・対応条件が大きく異なります。 記事の内容を踏まえて、実際に会社を比較し、自分の状況に合う1社を見つけましょう。

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執筆

ファクット編集部(監修: ろい

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