税金滞納中でもファクタリングは使える?売掛先の信用で資金化する仕組みと注意点
税金や社会保険料を滞納中でもファクタリングが使えるケースがあるのはなぜか。融資と違い売掛先の信用を見る仕組み、差押えリスクや売掛先への配慮、対応会社の選び方、滞納解消への活用法まで実務的に解説します。
この記事の執筆者
ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。
監修ろいFP・宅地建物取引士・行政書士/ファクタリング比較ラボ主宰
ファクタリングを30社以上利用し、著書『ファクタリングのトリセツ』も出版した実務家が内容を確認しています。
「税金を滞納している=ファクタリングは無理」とは限らない
資金繰りが厳しくなると、まず後回しにされやすいのが税金や社会保険料の支払いだ。だが滞納が続くと「もうどこも相手にしてくれない」と感じ、資金調達の選択肢まで自分で閉ざしてしまう経営者は少なくない。
実は、ファクタリングは融資とは仕組みが違うため、税金や社会保険料を滞納していても利用できるケースがある。本記事では、なぜ滞納中でも使えるのか、どんなリスクに注意すべきか、どう会社を選び、滞納解消にどう活かすかを実務的に整理する。
先に結論:ファクタリングは利用者本人ではなく「売掛先の信用」を見る取引なので、税金滞納中でも対象になり得る。ただし①売掛金が差し押さえられる前に動く、②売掛先に迷惑をかけない方法を選ぶ、③滞納を隠さず相談する——この3点を外さないことが前提になる。
まずは具体例——売掛金が入る前に税金の督促が来た
たとえば、ある個人事業主が大口取引先への請求書(入金は60日後)を抱えているとする。手元資金が尽き、消費税の納付が遅れて税務署から督促状が届いた。融資を申し込んでも、滞納がある状態では金融機関の審査は通りにくい。
このとき選択肢になるのがファクタリングだ。60日後に入る売掛金を先に資金化できれば、その資金で滞納を解消し、差押えという最悪の事態を避けられる可能性がある。「滞納しているから使えない」のではなく、「滞納を解消するために使う」という発想の転換が要点になる。
なぜ滞納中でも使えるのか——見ているのは「売掛先の信用」
ファクタリングが融資と決定的に違うのは、お金を貸すのではなく、売掛債権(請求書)を買い取る取引だという点だ。
| 融資(借入) | ファクタリング | |
|---|---|---|
| 性質 | お金を借りて返す | 売掛債権を売って資金化する |
| 主な審査対象 | 利用者本人の信用・財務 | 売掛先(請求先)の信用 |
| 返済義務 | あり | なし(債権を譲渡) |
| 税金滞納の影響 | 不利になりやすい | 必ずしも致命的ではない |
この構造は、赤字決算でも利用できる理由と同じだ。決算の状態と申込可否の関係は赤字決算でもファクタリングは使えるかで別途解説している。本記事の「税金滞納」とは見るポイントが異なるため、あわせて読むと整理しやすい。
ただし、滞納の影響がまったくないわけではない。後述するように、滞納が長期・高額になると売掛金そのものが差押えの対象になり得るため、会社によっては慎重に判断する。「売掛先の信用は申込側の事情と切り離して評価される」一方で、「滞納の状況は無視できない」——この両面を理解しておきたい。
注意点①——「差押え」のリスクは誇張せず、しかし軽視もしない
税金を滞納したまま放置すると、最終的に税務署や年金事務所が財産を差し押さえることがある。差押えの対象には売掛金も含まれ得る。
ここで重要なのは順序だ。差押えは督促・催告などの手続きを経て行われるのが通常で、いきなり実行されるわけではない。とはいえ、滞納を放置するほどリスクは高まる。売掛金が差し押さえられてしまえば、その請求書はファクタリングで資金化できなくなる。
だからこそ「差押えが入る前に資金化して滞納を解消する」という動きが意味を持つ。差押えを過度に恐れる必要はないが、放置していい問題でもない。滞納が長期化している場合は、税務署・年金事務所への相談(猶予・分納などの制度活用)も並行して進めたい。利用できる猶予制度は税金の納付猶予を使った資金繰り改善ガイドで扱っている。ファクタリングと制度活用は二者択一ではなく、組み合わせて考えると選択肢が広がる。
注意点②——売掛先に迷惑をかけない契約形態を選ぶ
ファクタリングには、売掛先に通知せず利用できる2社間と、売掛先の承諾を得る3社間がある。
滞納の事情を取引先に知られたくない、取引関係に影響させたくない、という場合は2社間が選ばれることが多い。自分の資金繰りや滞納の問題で、大切な売掛先との関係を損なわないことは、長期的にはなにより優先したい点だ。
一方で3社間は手数料が低くなりやすい。「コストを抑えたいが売掛先への影響は避けたい」というバランスは、会社や案件ごとに最適解が変わる。契約形態の選び方の基本はファクタリング会社の選び方にまとめている。
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対応会社の選び方——「滞納OK」を掲げる会社の見極め方
税金滞納中の相談に応じる会社は一定数あるが、選ぶ際は次の点を確認したい。
税金滞納の事情があっても相談しやすい会社を絞って比べたい場合は税金滞納でも相談できるファクタリング会社から確認できる。今使っている会社の条件と並べたいなら乗り換え比較ツールも活用したい。
なお、特定の1社だけが万能ということはない。「必ず通る」「どこでも審査なしで使える」といった断定的な訴求には注意し、自社の売掛先・金額・滞納状況に合うかどうかで判断してほしい。希望に合わなかったときの次の一手は審査に通らなかったときの代替策も参考になる。
滞納解消への使い方——「つなぎ」として正しく使う
ファクタリングを滞納解消に活かすときの基本の流れは次の通りだ。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 滞納額と納期限を整理 | 督促状・納付書で正確に把握 |
| 2 | 資金化できる売掛債権を確認 | 信用力の高い売掛先の請求書ほど有利 |
| 3 | 複数社に相談・相見積もり | 滞納の事実は正直に伝える |
| 4 | 資金化して滞納を解消 | 差押え前に動くことが重要 |
| 5 | 同時に猶予・分納も検討 | 制度活用で再発を防ぐ |
まとめ——滞納していても「相談する前から諦めない」
- ファクタリングは融資と違い売掛先の信用を見るため、税金滞納中でも利用できるケースがある。
- 滞納を放置すると売掛金が差し押さえられ得る。差押え前に資金化して解消する順序が重要。
- 売掛先に迷惑をかけない契約形態を選び、滞納は隠さず正直に相談する。
- 1社で諦めず複数社を比較し、猶予・分納などの制度活用と組み合わせる。



